赤井と結婚した元部下へ逢いに行く降谷零の話。そしかい後ネタ。赤井の娘が出てくる。何夢かわからない。そもそもこれは夢なのか??
※FBI研修制度とか司法取引制度とかあやふやで書いてます。
彼女は僕の部下だった。学生時代から出来が良かったようで、学年トップの成績で警察学校に入校。僕と同じく総代を務め、卒業後は警視庁公安部に配属された。性格は冷静沈着、運転技術は僕には劣るが、射撃の腕前は目を見張るものがあった。それだけにとどまらず、持ち前の頭脳で容疑者を自白へと追い込む尋問スキルもなかなかのものだった。では、何故彼女を手放したのか?──答えは簡単だ、全て「赤井秀一」の仕業だ。
例の組織を壊滅に追い込み暫く経った後、彼女はFBIへの派遣を申し出た。我々日本の警察には国際捜査官育成の為のFBI研修というものが存在する。実際に米国へ赴き、米国での特殊犯事件への対応や、プロファイリング技術、射撃訓練などを学ぶプログラムの他、現地のFBI捜査官との交流を図ることが出来る制度だ。
「日本でも司法取引制度が導入されて暫く経ちますが、長年その制度を取り入れているアメリカで交渉術や尋問技術を学びたいんです」
「……自己負罪型と捜査・公安協力型。同じ司法取引とはいえ、スタイルが違うだろう」
「でも、交渉術や尋問技術は日本でも通用しますよね。今回、FBIと合同捜査をして気付いたです……今の私に足りないのはこれだって」
「ったく……君の熱意はわかった。上に掛け合ってみるよ。とはいえ、そう簡単にあの研修が受けられるとは思えないが」
まあ、期待しないでおくことだな。そう付け足した僕の予想を裏切り二ヶ月後、彼女はFBI研修のチャンスを手に入れた。
「は?研修の延長?」
「はい、FBIからはそちらにもう連絡は入れたと聞いているんですが……」
「おい、僕は何も聞いてないぞ!」
「え?」
あと数週間で研修期間が終わるという時に、+1で始まる番号からの電話に出ると彼女がそう告げたのだ。そんなことがあと数回続き、最後には辞職願が送られてきた。
「おいッ!一体これはどういうことだ!?ちゃんと僕に理由を説明しろ!!」
「実は……」
ショットガンマリッジ
「おいおい、赤井秀一いくらスナイパーだからってマジかよ」と部下のうちの一人が呟く声を掻き消すように、その日警視庁に僕の怒号が響き渡ったのは言うまでもない。
「赤井秀一ッ〜〜〜!!!」
◇◇◇
「レイは、ママのおともだち?」
「まあそんなところかな……」
少し癖のある黒髪に、父親譲りの翠眼。僕の膝の上に座り、「よんで」とせがんだ本はシャーロック・ホームズ。年端もいかない就学前の子どもがだ。流石、あの男の娘だと僕は思わず口許を緩める。
「ダッドはね、ホームズみたいなんだよ。どんななぞでもといちゃうの!」
「ホォ──、それは凄い」
「このまえもね、なんじけん?っていうのをかいけつしたの!めーきゅういりのえーっと、なんとかじけん!」
「……難事件かな」
「そう、それ!」
「こら、降谷さんに迷惑かけないの」
すっかり母親の顔になった元部下がその手にティーカップを持ってやってきた。
「……めーわく?」
「いや、全然」
今にも泣きそうな顔で見上げられて誰が迷惑と言えるだろうか。流石の僕でもこれにはお手上げだ。丸い小さな頭を撫でると、数年振りに見る僕の元部下が「……すみません」と苦笑を漏らした。
「……彼奴は?」
「もうすぐ帰ってくるかと思います。今日は早く帰ると言っていたので……」
「そうか。で、どうだ?ここでの暮らしは」
「もうあれから6年ですからね……流石に慣れました。そういう降谷さんは?」
「こっちは君が抜けたせいで大変だったんだぞ。風見なんて暫く赤井の名前を聞くだけで蕁麻疹を出していたくらいだ」
「え?蕁麻疹?」
風見は彼女の教育係だった。配属されたばかりの彼女に公安の何なるかを叩き込んだのは彼だ。手塩にかけて育てた部下を赤井に持っていかれて怒りを感じていたのは何も僕だけじゃない。それは風見も同じだった。とはいえ、小さなこの子の顔を見てしまえば態度は急変。
「降谷さん、見てください。この写真……自分の指を握って笑ったんです……!」
「おい、何で僕より先に会いに行っているんだ君は……」
「いえ、偶々長期休暇でアメリカに行きまして……ついでなので顔を見ていこうかと」
「“偶々”ねえ」
大方、心配になって会いに行ったのだろう。こう見えて風見は案外面倒見がいい。それと、どうやら犬だけではなく子どもにも弱いようだ。今は元の姿に戻った小さな探偵の扱いには四苦八苦していたように見えたが、意外なところもあるもんだなと僕は風見を見遣る。
「彼女は元気だったか?」
「……ええ。降谷さんに宜しくお伝えくださいと言っていました」
「ったく、まさか赤井に盗られるとはな……」
「え!?」
「おい、誤解するな。そういう意味じゃない」
日本の優秀な警察官を赤井なんかに盗られるとは、と言う意味だぞ。念の為に言っておくが……と言葉を付け足した僕に、「は、はあ……」と風見は困惑の表情を浮かべた。だから誤解するなと言っているだろうが。そんな意味じゃないんだ。
「あ!ダッドだ!ダッドがかえってきた!」
僕が回想に耽っていると、玄関を開錠する音に気が付いた彼女の娘が僕の膝から飛び降り玄関へと駆けていく。
「ダディ!おかえり!きょうはジャパニーズフードだよ!ママのねー、おともだちのねー!」
「おっと、my little princess。今日は随分と熱烈なお出迎えだな。そういっぺんに言われちゃ、流石のdaddyも聞き取れやしない」
「だからねー、レイが!」
「ん?レイ……?」
ああ君だったか、降谷くん。君、全然老けないな。本当にそれで30半ばか?と、自分に良く似た我が子を抱き上げてリビングにやってきた赤井が僕の方を見る。相変わらず失礼な奴だな。
「ちょっと、シュウ。喧嘩はやめてよ。折角、日本から来てくださったんだから」
「honey、流石にこの歳でもう喧嘩はしないさ」
ハ、ハニーだと……あの赤井が。思わず、込み上げそうになる笑いを手の平で隠す。いや、駄目だ笑いそうだ。
「レイ?どうしたの?」
いつの間にか赤井の腕の中から抜け出した小さなお姫様が僕の元へとやってきて、こちらの顔を覗き込もうとする。まだ、little princessは百歩譲ってわかる。可愛い我が子だ。お姫様と形容したくなる気持ちもわからなくもない。でも流石にhoneyはないだろう、honeyは。また笑いが込み上げてくる。
「ふ、ははは……こら、僕を突かないでくれ」
「レイ、わらってる?」
「こら、悪戯なお姫様だな」
ツンツンと僕を突いてくる手を掴んでその小さな身体を擽るとケラケラと身を捩りながら小さなお姫様は笑い声を上げた。
「これで君も僕と一緒だ」
「ふふふ、やだレイくすぐったい!」
「何だ、随分と仲が良いな。この子に逢うのは初めてじゃなかったか?」
正確には二度目だ。……まあ、その時は赤井は居なかったが。一頻り笑った後、彼女を抱き上げる。
「……レイは、いいにおいがするね。ダディはいつもこげくさい」
「プッ、焦げ臭いって言われているぞ赤井」
「ん?焦げ臭いか」
何年経っても相変わらずニット帽に革ジャン姿の赤井は真顔で自分の服の匂いを嗅いでいる。ざまあみろ、これを機にいい加減禁煙でもしてみることだな赤井秀一!
──その後、届いたエアメールには赤井が禁煙を始めたと書いてあった(完)
多分その後、赤井の娘(幼女)を公安に勧誘しようとする。「あの二人の子どもだぞ?優秀に決まっている。良い人材は早いうちに確保しておいた方がいい」とかなんとか。何故私は徹夜でこんな話を書いているんだ??本当は初恋泥棒する降谷零の話だったんだけど、気付いたら勧誘員になってしまっていた!次回、プロスカウト降谷零編!(大嘘です、続きません)寝る!おやすみなさい。
